カラオケ・ボックス

 

 

とある飲み会に参加した。

 

一件目はよくあるチェーン店の居酒屋。

 

二時間ほど飲んだあと、このままお開きになるのもなんなのんで、誰が言い出したのかは覚えてないけど、その場のノリで、カラオケに行く案が出た。

 

僕は自分から積極的にカラオケに行くタイプの人間ではないけれど、別に嫌なわけじゃないので、流れ上、行くことになった。

 

居酒屋を出て、少しだけ歩き、カラオケ・ボックスに着くと、そのカラオケ・ボックスの会員証を持ってる人が受け付けで店員と話し、部屋をとった。

 

部屋が決まると、みんなぞろぞろその部屋へ向かう。

 

部屋に入ると、バッグやコートをソファーに置く人、トイレに行く人、スマートフォンを見る人、煙草に火を点ける人、お酒を注文する人など、各々が自由に動いた。

 

そんな中、「誰が最初に歌うのか」と、微妙に探りあう空気の中、一人が曲を入れた。

 

イントロが流れ出し、その人は歌い出した。

 

まあ、よくある最近のJ-POPのヒット曲だ。

 

まだみんなの空気は堅いが、「あ、この曲知ってるー」と、一人が反応した。

 

そして、その反応を皮切りに、みんなが順番に曲を入れ始めた。

 

僕も曲を入れた。

 

音楽好きの人たちとカラオケに行く場合は、マニアックな曲を入れてもいいんだけど、今日のメンバーはそういったタイプの人たちじゃなかったから、僕が好きな曲の中でも、まあまあ有名な曲を入れた。

 

何人かが歌い、僕の番が回ってきた。

 

僕が入れた曲のイントロが流れ出し、僕は歌った。

 

みんなの反応は微妙。

 

僕が好きな曲の中でも、まあまあ有名な曲を入れたんだけど、微妙な選曲だっただろうか・・・。

 

失敗したかも。

 

でも、歌い終わると、お世辞かもしれないけれど、「意外と歌うまいね」なんて、褒められもした。

 

そして、また別の曲のイントロが流れ出し、その曲を入れた人が歌い出した。

 

空気が和らいできたのもあるのかもしれないけど、そこそこみんなの反応が良い。

 

一緒に口ずさむ人もいる。

 

やっぱり最近の売れ筋のJ-POPの曲を歌ったほうが、ウケが良いみたいだ。

 

曲を聴きながら、僕はビールを飲む。

 

さらに酔いが回る。

 

曲を入れ、自分の番が回ってきたら、歌う。

 

またビールを飲む。

 

そんな感じで、一時間が経過した。

 

一件目の居酒屋のときよりも、さらに心地良く酔った頭でぼんやり思う。

 

別に、J-POPが嫌いなわけではないけれど(好きな曲もあるし)、僕の趣味じゃない曲でも、カラオケ・ボックスでは、最近のJ-POPの曲が妙に心地良く感じるなあと。